感想「異端審問」
「異端審問」 渡邊昌美 講談社現代新書
家の中に転がっていたので、読んでみた。この辺に一番関心があったのは、笠井潔の「サマー・アポカリプス」やエーコの「薔薇の名前」を読んでいた10年ちょい前頃(本書の中にも「薔薇の名前」への言及がある)。アルビジョア十字軍とか、カタリ派とか、ベルナール・ギーとか、その頃に知った。その辺の背景を知るには、ちょうどいい本という感じだったけど、小説を読んだ時の記憶自体が既に薄れてしまっているから、そういう意味での役には、あまり立たなかった感じ。ただ、ヨーロッパの文化の背景について考えることが、近頃、結構多いので、そういう意味で興味深かった。特に宗教と国家の関係の濃密さと、それを背景にした宗教権力による市民の支配というのは、日本の歴史上、あまりなかった状況のように思えるし、こういう歴史を背景に持つ欧米人がキリスト教に対して抱く感覚を、平均的な日本人が実感として理解することは不可能なんじゃないかという気がする。それとも、戦前の国家神道が目指したのは、こういうものだったのかな。
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