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感想「子午線」

「子午線 メートル異聞」 ドゥニ・ゲージュ 工作舎
本が出た当時(1989年)の書評を見て、フランス革命のさなかに、メートル法成立のために子午線計測に挑んだ人々の冒険もの、と思っていたのだけど、逆だった。子午線計測というイベントから見たフランス革命史、とでも言うべき小説。というか、これはノンフィクションなのかな。どの辺までが事実で、どこからが創作なのか、判然としない。ともかく、計測行の苦難を描いていて、一応、冒険ものには違いないけれど、そこにそれほど力点はないように感じた。
そもそも、メートル法が、ここまでフランス革命と密接な関係のあるものだとは知らなかったし。平等という理念に端を発した、普遍的な単位体系を作ろうという試み。確かにフランス革命ってのは、あらゆる旧秩序を作り替えようとする「革命」だったということか。ただ、理想主義者たちの熱気は眩しいけれど、それが全ての面で正しかったかどうかは別問題。革命が成った後で、この試みに加わった人々を含め、内ゲバのような形で多くの人が死んで行ったことが、その証拠だと思う。一人ひとりの目指す理想が違ったわけで、その中に普遍的な正義を見い出すのは難しいことのように思える。そういうことを書きたかったのかどうかは、何とも言えないけど、革命の外縁部に居た人々の運命を描いたこの本を読むと、そういうことを考えてしまう。
それにしても、科学者が革命の中で重要な役割を果たしていたということが、今までぴんと来ていなかったのだけど、新秩序の基準の創造者という意味合いがあったことを、ようやく理解出来た気がする。

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