感想「塵クジラの海」
「塵クジラの海」 ブルース・スターリング ハヤカワ文庫
1977年刊行のスターリングのデビュー作。
“サイエンスファンタシー”だそうだけど、“サイエンスフィクション”であるらしい「スキズマトリックス」(1985年)あたりとの違いは、背景の厚みの差くらいか。もってまわった言い廻しとか、登場人物の異形ぶりとか、主人公のどっちつかずな性格とか、作品の印象はかなり似通っている。
舞台になっている世界のイメージを把握するまでは、相変わらずのややこしい文章に、多少苛々させられたものの、薄い分、スターリングにしては、読みやすかった。ただ、閉所恐怖症に陥りそうな世界像は悪夢的で、爽快感とは無縁。この辺もスターリングぽいか。
著者自身が序文で書いてるのを読んだからかも知れないが、作家の卵がチャンスを物にするべく、持てる知識やテクニックを洗いざらい繰り出して、思い切り背伸びして、デビュー長編に挑んでいるさまが見えるようだった。その辺は、ほほえましく感じた。
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