修禅寺物語
「修禅寺物語」 岡本綺堂 旺文社文庫
戯曲5篇を収録した作品集。歌舞伎で上演されるような戯曲なので、それほど複雑な筋立てがあるわけでもないのだけれど、どの作品も一筋縄で行かない深みを感じさせる。「半七捕物帳」が、決して単純素朴な江戸の捕物帳ではなくて、人間の業のようなものを、よく描き出していたのと似た印象。
中では、やはり表題作が記憶に残るかな。ちょっと、芥川龍之介の「地獄変」ぽかったりもする。以前、修善寺に行った時、頼家や範頼の墓を見に行ったけど、あの時の風景が思い出されたりもした。でも、「佐々木高綱」や「俳諧師」の、劇的でない妙にさらりとした終り方に、より味わいがあるようにも思える。
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