感想「ロウソクのために一シリングを」
「ロウソクのために一シリングを」 ジョセフィン・テイ ハヤカワポケミス
古本屋で安く売ってたので、買ってしまった。「時の娘」はかなり気に入った記憶があるけど、読んだのは20年前くらい? 細かい中身は、もう忘れてる。
そんなに古風な感じはしないが(1936年刊)、エリカが素人捜査でコートを見つけてしまったりとか、いかにものどかで絵空事風。黄金時代のイギリス本格ミステリだな。もちろん、それが悪いということではなく、登場人物にくさみがなく、自然な感じで描かれている所が、のどかさとうまく噛み合って、楽しく読めた。
もっとも、プロットに関しては、冒頭の奇妙な青年のキャラクターが小説の半ばでほとんど消えてしまって、終盤はまるっきり別の話になっているあたりは、構成の破綻だと思う。解決がいかにも取ってつけたように見えるのは、そのせいじゃないかな。解決のアイディアを先に考えて、後から青年の挿話をはめ込んで行ったのかな、という気がする。
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