感想「地球を測った男たち」
「地球を測った男たち」 フロランス・トリストラム リブロポート
「子午線」を読んだ時に、イメージと違ったのは、どうもこの本の書評と混同したせいかも知れない。翻訳も比較的近い時期(1983年)に出ていたので、印象が混じり合ってしまったみたい。
何しろどちらも子午線を測る話で、アカデミーの命を受けたフランス人が取り組むというのも同じ。こちらの方が50年ほど時代が前で、測った場所もエクアドル(当時はペルー)、アンデスの山の中。「子午線」は、フランス革命の最中とはいえ、フランスとスペインだったから、作業の難度としてはこちらの方がはるかに上で、「子午線」よりもずっと冒険ものらしい。史実に沿って書かれて、あまり作為的な演出はないように見えるにもかかわらず。
また、「子午線」の調査隊が、フランス革命の理想主義を背負っていたのに対し、こちらは学術的な関心と個人的な名誉心が動機となっているから、行動にも、より人間臭さが感じられ、そこいらも冒険小説風な趣を感じる一因と思う。中ではジュシューの、気紛れでいながら、結果的には自己犠牲的になってしまった生き方に興味を引かれた。
18世紀初頭の南米の社会が描かれているのも、他ではあまり見ない気がする。混沌としたイメージは、今とあまり変らないけど、それは偏見だろうか。
それにしても、フランス人は、こんなことばかりやっていたのかね。
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