感想「一杯の珈琲から」
「一杯の珈琲から」 エーリヒ・ケストナー 創元推理文庫
古本屋で100円の棚で見つけて、何となく買ってしまった。
ドイツとオーストリアの国境を挟んで、お役所仕事で外貨を持ち出せない金持ちのドイツ人が、オーストリアで文無しで暮らすという、いかにも喜劇的なシチュエーションなのだけど、あまりドタバタしたコメディには発展して行かない。おっとりとした古風なロマンティック・コメディという趣き。ザルツブルグの音楽祭が舞台で、その風景が細かに描かれているのも、教養的で上品な感じ。
まあ、1938年刊行なので、古風なのは当たり前だけれど、この時期のこの地域が舞台になっているにしては、随分のどかという気がする。そこにある種の批判的な意図は、込められているのかも知れないな。もうひとつ、国境というものの滑稽さを笑っているようにも思える。
| 固定リンク
「小説」カテゴリの記事
- 感想「囚われの世界」(2010.01.27)
- 感想「木曜日だった男」(2010.01.27)
- 感想「アンダーキル」(2010.01.15)
- 感想「歌の翼に」(2010.01.11)
- 感想「闇の奥」(2009.12.23)





コメント