感想「一杯の珈琲から」
「一杯の珈琲から」 エーリヒ・ケストナー 創元推理文庫
古本屋で100円の棚で見つけて、何となく買ってしまった。
ドイツとオーストリアの国境を挟んで、お役所仕事で外貨を持ち出せない金持ちのドイツ人が、オーストリアで文無しで暮らすという、いかにも喜劇的なシチュエーションなのだけど、あまりドタバタしたコメディには発展して行かない。おっとりとした古風なロマンティック・コメディという趣き。ザルツブルグの音楽祭が舞台で、その風景が細かに描かれているのも、教養的で上品な感じ。
まあ、1938年刊行なので、古風なのは当たり前だけれど、この時期のこの地域が舞台になっているにしては、随分のどかという気がする。そこにある種の批判的な意図は、込められているのかも知れないな。もうひとつ、国境というものの滑稽さを笑っているようにも思える。
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