感想「日本の古都はなぜ空襲を免れたか」
「日本の古都はなぜ空襲を免れたか」 吉田守男 朝日文庫
太平洋戦争当時、京都が大規模な空襲に遭わなかったのは、貴重な文化財を守るためにアメリカが爆撃しないように配慮したから、という俗説は、嘘っぱちだというのを実証的に述べた本。この論自体は、90年代にかなり広く報道されて定説になりかけていたそうなのだけど、知らなかった。
そもそも、人間なら爆撃しても良くて、文化財は駄目という考え方が、どうかしてるとは思うから、その配慮に対してアメリカに感謝してたってこと自体、馬鹿げてると思うけど、後で原爆を落として効果を検証するために、京都への焼夷弾爆撃を止めていたというんなら、いよいよお笑いだな。
ただ、そうした本論よりも、読んでて印象に残ったのは、各都市を組織的に爆撃して、非戦闘員の都市住民を殺しまくり、日本を疲弊させようとしたアメリカの戦略。その後は、民主的な政府を作ると称して進駐して、自分たちに都合のいい政権を作ろうとする。アメリカが最近、アフガニスタンやイラクでやってることと、本質的には一緒なんだけど。テロリストや独裁者を倒すためという口実はあるけど、日本を爆撃してた当時だって、独裁的な帝国主義国家を倒すという口実があった。だからと言って、喜んで空襲で殺される人間はいないだろうし、身内が殺されれば恨みに思うのが、人間の自然な心理じゃないのか。
そう考えたら、イラクでアメリカがいつまでたっても支配権を確立出来ず、アメリカ兵への攻撃が止まないのは、当り前だし、そのアメリカに同調する形で送り込まれた自衛隊が、歓迎一色で迎えられるはずがないのも当然。単純に考えれば、むしろ、こういう歴史を持つ日本が、こんな行動を取ることの方が不思議なはず。でも、日本はアメリカの占領に対して、ほとんど反撃しなかった国だから、実は首尾一貫してる。結局、時の権力の意向に従うのが善、という国民性だからなんだろうな。権力の意向に沿わないはみ出し者は、こぞって排斥するってのも、その現れに過ぎないわけで。
でも、日本占領が順調に運んだことが、アメリカに自信を付けさせ、現代に至っても同じようなやり方で他の国を支配しようとしてる(今回のイラク占領を「日本モデル」と呼んでる記事をどこかで見た気がする)原因なんだとしたら、日本の罪は結構重いということになりゃしないか。そういう国民性なので、なんて、言い訳して済まされる話でもない気がする。
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