感想「突然、暴力で」
「突然、暴力で」 カーター・ブラウン ハヤカワ・ポケミス
ダニー・ボイドものの2作目。悪いやつらが入り乱れて裏をかき合う恐喝事件を描く。
シリーズ初期の作品らしく、金と女に眼が無くて、金のためなら汚い仕事も引き受ける、みたいな、主人公のキャラクター付けを、一所懸命やっている気配を感じる。実際には、それほど単純に割り切れるキャラクターでもないのだけど、とりあえずはそういう路線でシリーズを始めようとしているようで、内容も含め、話の運びがやや重いのは、その辺の理由もあるかな。ただ、私立探偵のボイドやリック・ホルマンが主人公の作品は、全体として、コミカルさよりも暴力が色濃く、重さを感じる傾向はある。
悪党が何人も出て来るが、タイプでうまく描き分けられているし、ややこしくなりかねないプロットも結構整理されていて、すんなり読めた。
あと、フラン・ジョーダンが初登場。巻末でボイドの秘書に雇われ、これ以降はレギュラー。第1作目(「しなやかに歩く魔女」)からいたわけではなかったらしい。読んだはずなんだけど、忘れている。
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