感想「セメントの女」
「セメントの女」 マーヴィン・アルバート ハヤカワ・ポケミス
ポケミスの古い映画の原作発掘シリーズの一冊。といっても本書に関しては、映画自体がそんなに有名じゃないと思うんだが。フランク・シナトラ主演の私立探偵ものだそうで。
本書は、1961年刊行の私立探偵小説。海底に、足をセメントで固められた女の死体が沈んでいるという、幻想的で衝撃的な光景で幕を開け、マイアミを舞台に快調なペースでストーリーが突っ走る。冒頭のシーンを含め、ヴィジュアル的なイメージが豊かで、映画化されたのがうなずけるが、小説的にも、信念を持った主人公のハードボイルドな造型がぴたりと決まっているし、プロットもしっかりしている。適度なコミカルさとやるせなさが漂い、通俗的ではあっても必要以上に崩れることはなく、この時代に量産されていた職人的なハードボイルド小説の、お手本のような作品だと思う。
もっとも、これが1050円と言われると、ううん?、と思う部分もないではないが。
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