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感想「バンディッツ」

「バンディッツ」 エルモア・レナード 文藝春秋
久々に読んだレナード。1988年に翻訳が出た旧刊だけど読み残していたもの。原著刊行は1987年で、アメリカはレーガンが大統領で、ニカラグアでコントラを支援していた頃。決して政治的でも左翼的でもないレナードが(反権力的ではあるかも知れないが)、サンディニスタに同情的な書き方をしている背景には、アメリカのそうした中米政策に、懐疑的な雰囲気が広がっていた影響もあるんだろう。アメリカの中南米での民主化運動に対する暴力的な介入の問題は、さっぱり表に出て来なくなってしまった感があるが、情況はいくらかでも好転してるのか。アルカイダやらフセインやらの騒ぎで、アメリカが正義ぶってる影に隠されているだけじゃないのか。
それはともかく、本書は、行き当たりばったりでとりとめがないという、レナードの持ち味通りの作品。先の読めなさぶりはサスペンスの常道のようだが、レナードは盛り下がる方向へ平気で話を持って行く所が型破り。普通の作家がそれをやったらただの肩透かしだけど、キャラクターがよく描き込まれているので、何をやらかすかわからない主人公の気紛れさについ共感してしまうし、そうしてるうちに、とりとめのなさ自体に必然性があるように思えて来る。それがいわゆる「レナード・タッチ」で、レナードの小説の最大の読み所だと思う。盛り下がるはずのストーリーなのに、なぜか面白く読めてしまうあたりが。
でも、そもそも現実の人間って、これくらい気紛れなもので、現実の出来事ってのも、これくらい無秩序に動くものなんじゃないだろうか。あんまりいい加減な所のない、ちゃんとした人(笑)には、分らない感覚かも知れないけれど。
小説の流れに合った、ユーモアのあるゆったりした筆致や、印象的な場面の多さも取り柄の一つ。考えようによっては、いい場面をつなぎ合わせて小説を作っているから、余計とりとめがなくなるのかも知れないな。
[追記]かなり雑に書いてしまっていたので、だいぶ書き直した。(5/20)

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