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感想「パターン・レコグニション」

「パターン・レコグニション」 ウィリアム・ギブスン 角川書店
ギブスンの新作。現代を舞台に、ファッション業界のコンサルタントが、ネット上に次々アップロードされる謎の映像断片の出所を探る話。
やたらとスタイリッシュなサスペンス小説。元々、ギブスンの小説はそうだけど、舞台が現代になって、SF的な装飾が取れたことで、その骨格がいよいよ露になった感じ。そういう所が好きで、ギブスンの小説を読んで来たから、そのことに特に問題はないのだけど、出だしの方はギブスン自身がそのことを意識し過ぎているのか、現代性を強調するような固有名詞が頻出して、ややわずらわしかった。徐々に話がうまく流れ始めると、ギブスンらしい、風変わりだけど案外素直な登場人物たちの交錯を、愉しめるようになった。ただ、今までSF的な装飾に隠れていた構成の甘さが、見えやすくなっているような気はする。
従来のギブスンの作品には、楽天的な未来観が漂っていたと思うが、本書はあまりにも不確実な現在と未来、というのがテーマの一部になってる感じ。その辺は、世界貿易センタービルが破壊された事件が当然影響しているんだろうし、作品中にもこの件は頻繁に言及があって、本書の重要な要素の一つ。
もっとも、あの事件でアメリカ人が受けた衝撃は、良くも悪くも日本人には測り難いものだろうと思っているので、そこに深入りしようとは思わない。そうなんだろうな、と思うだけ。格好のいいサスペンス小説が読めた、というだけで、個人的には充分。巽孝之の解説なんかはうるさいだけなんだけど、ギブスン自身が、こういう風に語られることを望んでいるらしくもあるから、その辺は押し通すつもりはない。

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