« 家族のかたち | トップページ | セリーグ ヤクルト対広島(7/19) »

感想「戦争のある世界」

「戦争のある世界」 橋本治 マドラ出版
「広告批評」に連載されている「時評」を約2年分まとめたもの。(2002年5月〜2004年3月)
橋本治の文章については、以前は自分の意見との細かい違いに目が行くことが多かったのだけど、近年は考え方のベースがとても似ているという点に共感を覚えることが多い。自分と意見が似ている、と感じる文章に接することが減っているせいかも知れない。そもそも評論的な文章を読まなくなってるというのもあるが、議論の前提や、論理が狂っているとしか思えないような文章が増えてるのが、読まなくなっている理由の一つでもあるから、全く無関係な問題でもない。昨今、筋の通った、理屈にかなった意見が求められるはずの場面で、自分の好き嫌いや感情だけで軽々しく発せられる文章や言葉の多いこと。代表例は、小泉や石原慎太郎の公の場での暴言の数々だけれど、これは彼ら個人の問題ではなくて、世の中全体がそういう方向へ行っている。そうでなかったら、あいつらが高い人気を誇って、権力の座に居続けることが出来るわけがない。
橋本治は、理屈で考える筋道を文章化していき、最後に結論を導き出すから、非常に分かりやすいし、納得出来る内容になっていると思う。しかも、世の中の出来事に対する考察については、日頃自分自身が、この前提で、こう考えて、こういう結論になるはずじゃないのか、と思っている事柄について、似たような考え方と結論を導き出していくので、心強さを感じる。考えもせず軽々しく物を言う人々に対する不毛感についても、橋本自身が同じ感覚を抱いているのが分るし、にもかかわらず発信し続けて行こうとする姿勢は立派だと思う。自分も、自分の中だけでぐちゃぐちゃ抱え込んでいるだけでなく、何がしのものを発信して行くべきなのかも知れない、と思ったりもする。
自衛隊にしろ、「国」のあり方にしろ、環境問題にしろ、ポイントは非常に多いのだけど、一番印象が強かったのは、日本が儒教的であるというあたりかな。他でも見聞きしたことがあるから、全く斬新な意見ではなさそうだけど、この視点で考えると、人がまともに考えずに物を言うことも含め、理解し難かったいろんなことが腑に落ちると思えて、妙に感心した。
ただ、月1回の連載約2年分をまとめたものなので、著者が一月かけて書いた文章を短時間で一気に読むことになり、ちょっとしんどい。本来は、一月分づつを分けて読んで、徐々に消化していくべきなのかも。

|

« 家族のかたち | トップページ | セリーグ ヤクルト対広島(7/19) »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/1002662

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「戦争のある世界」:

» 【書名】 ああでもなくこうでもなく4 戦争のある世界 [PukiWiki/TrackBack 0.1]
[一覧] 書籍一覧 【シリーズ】 ああでもなくこうでもなく 【書誌目次情報】ああでもなくこうでもなく4 戦争のある世界 [マドラ出版 2004/05/16] ... [続きを読む]

受信: 2004.07.20 04:28

« 家族のかたち | トップページ | セリーグ ヤクルト対広島(7/19) »