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感想「砕かれた街」

「砕かれた街」 ローレンス・ブロック 二見文庫
ブロックの非シリーズ小説。「911」をモチーフに、ニューヨークを舞台にした連続殺人事件を描いている。
伏線のように見えてそうでなかったり、プロットとまるで関係ないようなエピソードが非常に多く、肩透かしを食らったような気分になる。相変わらず話術はうまいので、その一部として愉しめないわけではないが、それにしても分量が多すぎるし、小説自体も長過ぎる。ただ、これはブロックのここ10年くらいの傾向で、この作品に限っての話じゃない。結局、作家としての盛りを過ぎてしまったということなんだと思う。引き締まった作品が書けなくなっている。
それと、この内容なら、敢えて「911」を引合いに出すまでもなく、ただのサイコパスものとして書いたとしても、なんら違和感のない作品になったのでは? 「911」をきっかけに書かれた作品だったのかも知れないが、出来上がった作品だけを見ると、あまり必然性が見えない。「911」以降のニューヨークの市民群像を描いている、というなら、確かにそうなのかも知れないけれど、それ以前とどう違うのか、というのは、この小説を読んでも分らない。「911」は、ただの宣伝文句に過ぎないように感じてしまう。
もっとも、妙におさまりのいいラストは、ひと頃のスカダーものの殺伐ぶりとは、少し違っている気がして、「911」以降のブロックの心境の変化なのか?、と思わないではないけれど。それと、ブロックはニューヨークに思い入れのある作家だから、この題材で何か書きたいと考えたとしても無理はないな、とは思う。
近年のスカダーものや泥棒ものは、キャラクターへの親近感と話術の巧さで持ってるようなもので、内容は低調だと思っているが、シリーズの制約を外しても、この程度のものしか書けないとすると、いよいよブロックは終っちゃったんだな、と考えるしかないのかも知れない。それでも、新作が出れば読むだろうけど。

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