感想「怪盗ニック対女怪盗サンドラ」
「怪盗ニック対女怪盗サンドラ」 エドワード・D・ホック ハヤカワミステリ文庫
怪盗ニックものの第4短篇集で、女怪盗サンドラ・パリスが登場する作品を網羅したもの。全10篇。
怪盗ニックは、依頼を受けて価値のないものを盗む泥棒という設定で、なぜその依頼人は価値がないものを欲しがるのか、というホワイダニットの部分で感心したのは「浴室の体重計」。一方、どうやって不可能な盗みを遂行するか、というハウダニットの面白さも、シリーズの特徴の一つと思うけど、そっちの方では、そんなに目を引く作品はなかった感じ。どっちかというと、普通の謎解き小説になってる作品が多い気がする。そういう意味で、普通に面白かったのは、「レオポルド警部のバッジ」かな。レオポルド警部も出て来るし。
ただ、怪盗ニックものは、そういう風に方向性に幅がある分(ある意味、なんでも有り的な所がある)、たとえばサム・ホーソーンものみたいに、シリーズ作品に統一感が出せない弱点があるような気がする。ホックの主要なシリーズものの中で、このシリーズの個人的な気に入り度が比較的低いのは、多分、そう感じてるせいだと思う。ただ、本書については、サンドラ・パリスがレギュラーとして登場することで、統一感が生まれている気がする。
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