« ラミレスと契約合意出来ず | トップページ | 全日本女子サッカー選手権日程 »

感想「球団消滅」

感想「球団消滅」 中野晴行 ちくま文庫
単行本で出た時に、面白そうだったけど、高いんで買うのを止めたような記憶が…。今回、文庫で出て、740円+消費税。
戦争前後に、大リーグのオーナーに憧れて、プロ野球チーム(ライオン→朝日→パシフィック→ロビンス)を持ってた、大阪の実業家・田村駒治郎を描いた本。
解説でえのきどいちろうが似たようなことを書いているけど、タイトルなどから想像するに、日本のプロ野球界の歪みを、異端のオーナーだった田村駒を通して論じようというのが、著者の意図だったと思われるが、あんまりそういう風には読めない。むしろ、プロ野球草創期の波瀾万丈ぶりを、単純に楽しめてしまった。それに、ひとつの新しいものが立ち上がる時期に、それぞれ勝手な思惑を持った人間たちが集まって来るのは自然なことだし、型通りのプロ野球批判の観点からしか、そういう現象を見ないなんて、つまらないことだ。(それは、最近のプロ野球を巡る、多くの言説に共通して言えることでもある。どうしてどいつもこいつも、現状否定と大リーグ賛美という切り口でしか語らないんだろう。たとえばの話、鳴り物入りだから、一見さんでも応援に混ざりやすいんだし、ネットのない球場なんて、ライナーが飛んで来て、のんびり弁当も食ってられねぇだろうが、みたいな声が聞こえないのは、おかしい)
ただ、この当時(昭和20年代)と今が、まるっきりダブって見えるってのは、さすがにどうかと思うけれど。自力でリーグを作り上げた先達たちが、プロ野球を自分らの物と思うのは、100%間違っているとも言い切れない気がするが、今のプロ野球のオーナーたちは、歴史を単に受け継いで来ただけの存在だし、その歴史が成り立っているのは、ファンや選手がいたからこそなわけで、今の時代にそうしたファンや選手を無視した球界再編を行おうとするのは、やはり暴挙としか思えない。
そういうことを考える手掛かりにするのに、適した本であることは確か。でも、やっぱり、それ以上に草創期の球団興亡史が面白い。先日、「ベースボールマガジン/球団興亡史」で、その辺の基礎知識を仕入れた後だけに、違った視点からの記述で、状況が立体的に見えて来るという効果もあった。
[追記11/18] ちなみに「消滅」した球団てのは、当然ながらロビンスのこと。で、本書の帯には「なぜ企業は野球を捨てたのか?」という扇情的なコピーが書かれているが、この本はそういう話じゃないだろうが。田村駒の経営が傾いたから、手放さざるを得なかっただけで、捨てたわけじゃない。まるっきり、本を売るためのコピーだな。

|

« ラミレスと契約合意出来ず | トップページ | 全日本女子サッカー選手権日程 »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/1990374

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「球団消滅」:

« ラミレスと契約合意出来ず | トップページ | 全日本女子サッカー選手権日程 »