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感想「黒い蘭」

「黒い蘭」 ニコラス・メイヤー&バリー・J・カプラン パシフィカ
半年くらい前にMさんから頂いた本。
19世紀末のブラジルを舞台にした小説。密命を帯びたアメリカ人とイギリス人の2人組が、ゴムの産地として栄華を極めるマナウスへとやって来る。これ以上書くと、ネタバレになっちまうな。まあ、今では新刊では手に入らない本だけど。
退廃しきったマナウスや、自然が猛威をふるうアマゾンの描写には、現実離れした凄みがある。それにくらべると、ストーリーは、やや平板な印象。これだけの舞台装置なんだから、もっと華々しさがあっても、という気はするんだけど。ただ、華々しい素材を淡々と描く抑制した筆致そのものは、悪くない。
癖のある登場人物が多く、馴染むまでは、なかなかページが進まなかったが、半ば付近から話の展開が速くなることもあって、後半は一気に読めた。現代にも残る、南米の搾取の構図も描かれてはいるけれど、それはあくまでも道具立ての一部で、本筋は悩めるヒーローを主人公に据えた冒険小説という感じ。挫折した理想主義者という趣の、主人公のやるせなさがいい。

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