感想「A」
「A」 森達也 角川文庫
森達也は、「放送禁止歌」「職業欄はエスパー」を読んでいて、これを読むのは3冊目。
本書の副題は「マスコミが報道しなかったオウムの素顔」だし、確かにオウムについて書かれた本だが、いちばん描こうとしていることは、今の日本の社会の異常さだ。無批判に権力者・多数派に同調する一方、同じ立場に立たない者の考え方を理解しようとする意識や想像力を持たず、一方的に非難し殲滅することしか考えない「市民」の群れ。メディアを通して見える今の日本の社会は、そんな感じ。ただ、少なくとも現時点では、すべての日本人がそうだとは思わないし、実際、そんなことはない。森達也が世界の復元力を信じられるのも、そう思っているからなのかも知れない。
そうは言っても、世の中がそういう風に見えてしまうのは、権力者が自分たちに都合のいい、そういう社会を作り出そうとしているからだろう。一方で、思考停止して権力の言う通りにしている方が、楽に生きられるから、そういう生き方をする人々が増えて行く。増えることで、相乗効果で現象は加速していく。そうして、自分たちの非人間性を自覚しない「市民」ばかりになっていく。今はそういう過程にあり、これの行き着く先は、この国の破滅でしかない。
森達也が声を出し続けているのは、そんな相乗効果を止めるためなんだろうと思えるし、そう考える以上は、自分も声を出さなきゃいけないんだろうとも思う。
とにかく、敵と味方の二元論で割り切るのではなく、敵と思える相手のことを、理解しようとしてみて欲しいと思う。自分たちが思考停止することは危険なことだと、「市民」が自覚する以外、現象が止まることはないんだから。
で、まあ、そう思うから、楽天や読売のことも理解しようと努めてるわけで…。
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