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感想「擬態」

「擬態」 北方謙三 文春文庫
一つのきっかけで、内側に秘めていた破壊衝動を暴発させ、突っ走って行っちまう男という、北方がここまで、飽きるほど書いて来たパターンの小説。でも、確かにこの手の小説では、解説で池上冬樹が書いてるように、「檻」以来の手応えだったかも知れない。池上は、相変わらず、大仰な言葉遣いと知識のひけらかしをせずには、文章が書けないようだけど、書いてる内容自体は同感。
いつもの量産作品に較べて、ちょっと分厚い所がポイントかな。パターン化された展開に寄りかからず、手間を掛けて、じっくり描き込んでいる印象。
主人公は、身体を鍛えていて、格闘技の経験はあるにせよ、基本的には普通の会社員。だから、人物を造形するには、特別な能力や外観に頼らず、しっかり描き込んでいく必要があった。そういう狙いもあっての、この主人公設定なのかも知れない。主人公が妙な蘊蓄を垂れる場面は少ないし、必要以上に「生き方」にこだわることもない。北方が、そういう様式的な書き方に頼らず、じっくり取り組んだ小説と感じた。
普通に暮らしていた人間が、ふと日常に違和感を覚えて、そこからはみ出して行ってしまう所に、うまくリアリティを持たせていて、そこが本書が成功してる理由だと思う。そもそも「檻」もそういう小説だったはずだ。

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