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感想「人間の証明」

「人間の証明」 森村誠一 角川文庫
しばらく前にやってたTVドラマを少し見て、そこそこ面白いのかもしらんなと思って、いまさらながら読んでみた。TVのおかげで再版されていて、古本屋での入手も、割と簡単だったし。
あとがきから推測すると、1975年頃の作品。それほど日本の作家の小説は読んで来なかったので、当時の小説としてどうなのか、正確な所は分らないが、75年にしては、妙に古めかしく感じた。
風俗が時代を映しているのは当然なので、気になったのはそういう所じゃない。ひっかかりを感じたのは、妙に硬くてぎこちない文章、人物像の厚みのなさ、因縁話めいた筋運び、といったあたり。解説を横溝正史が書いているんだけど、これなら、終戦直後に書かれた横溝の小説と大差ないんじゃないだろうか。横溝が賛辞を述べていることに、全然、違和感を感じなかった。
しかも、横溝が嬉々として「探偵小説」を書いているのに比べ、本書は森村の社会に対する意識が反映されている分、必要以上に陰鬱で重苦しく、読んでいてあんまり楽しくないんだな。社会派的な要素にしても、ありがちで中途半端なものに見えてしまっていた。森村のこれ以降の活動などを見ると、この人の社会に対する意識の持ち方は、自身がくぐって来た過酷な経験を踏まえ、決して半端なものではなさそうなのだけど、少なくとも本書では、そういう部分が生きているとは言い難い。森村自身の社会に対する怨念が、充分に消化されない状態で、小説の中に投げ出されているような印象。
先日のTV版は、時代背景だけでなく、原作を随分うまく処理したんだなと思った。やや通俗的過ぎたかも知れないけど。まあ、大して見てもいないんだけど。(実質2-3回くらい)
で、森村誠一は、食わず嫌いに近い作家で、長篇をまともに読んだのは、これが初めてだったが、まあ、読んでなくてもいいのかな、と思ってしまった。

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受信: 2005.07.26 15:40

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