« 40000カウント | トップページ | Beastie Boys ライブ »

感想「エンベディング」

「エンベディング」 イアン・ワトスン 国書刊行会
埋め込み(エンベディング)構造の言語というのがポイントの一つになっているが、それがどういうものなのか、いまひとつピンと来ず、それを最後までひきずってしまったせいで、話に乗り切れなかった。訳者(山形浩生)のあとがきを読んで、要は、関係代名詞を何重にも積み重ねたような言語構造なんだな、と思ったけど。
ただ、言語構造そのものの話は、ほんとはどうでもよくて、実は単に「埋め込み」という言葉のイメージだけをどんどん拡張して、暴走させただけの小説なんだろうという気がする。訳者は、難解な観念小説と紹介されていたが、大したことはなかった、とでも言いたげだけど、いかにも。観念的な言説はハッタリで、その向こうで大風呂敷を広げまくるのがワトスンの面白さだものな(ワトスン自身が、ほんとにそこまで開き直ってるのかどうかは分らないが)。そういう持ち味は、よく出てると思う。
随分以前に読んだので、あまりよく覚えてないが、同時期の既訳長篇「ヨナ・キット」「マーシャン・インカ」とも印象はかなり似通っている 。ただ、バカバカしさのスケールのでかさでは、あっちの方が上じゃないかな。本書は小説の造りも結構粗くて、さすがに長篇第一作だけに、やや未熟、という所かも 。もっともこの2作は今は絶版だし、とりあえずワトスンの小説を読んでみたいと思う向きには、本書は充分な出来だと思う。
あとがきは、この訳者らしく、多分に挑発的だけど、明快で分かりやすく、納得出来るものだった。イアン・ワトスン入門としても、手頃な感じ。

|

« 40000カウント | トップページ | Beastie Boys ライブ »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/2564967

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「エンベディング」:

« 40000カウント | トップページ | Beastie Boys ライブ »