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感想「さりげない殺人者」

「さりげない殺人者」 ロバート・K・タネンボーム 講談社文庫
検事補ブッチ・カープを主人公にした犯罪小説。これが翻訳3冊目のシリーズものなんだけど、刊行ペースがやたらと遅いし、版元が変わってもいるので、日本でどれだけシリーズものとして認知されているかどうか。ちなみにアメリカでは、昨年、16作目が刊行されているらしい。
1970年代後半のニューヨークを舞台にしていて、洒落てて陽気な雰囲気がいかにも、ってところは、これまでの作品同様。登場人物に好感が持てるところも相変わらずで、楽しんで読めた。ただ、本書については、過去2作に比べ、事件の比重が低いように感じた。取り扱われる事件自体は、充分深刻なものなのだが、シリーズものとして登場人物を描く方に、力点が行ってしまっているように思える。シリーズ作品としての安定感はあるが、単独作品としてはやや物足りないような気はする。
なお、原著刊行が1992年。2005年の今、感じるほどではないにせよ、著者自身も、いくらかノスタルジックな気持ちを込めて書いているものと思う。いかにもな雰囲気が強いのは、多分にそれが理由なんだろう。考えてみると、ニューヨークを舞台にした、洒落た都会的なミステリが成り立ったのは、70年代までなのかも知れない。80年代以降は、アンドリュー・ヴァクスみたいな真っ暗な雰囲気の小説が主流になってた印象がある。マクベインもローレンス・ブロックも、この時代以降は、すっかり暗くなっていたものな。敢えて、時代を遡って書いているのは、そういう意味合いがあってのことなのかも知れない。

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