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感想「火星のタイム・スリップ」

「火星のタイム・スリップ」 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫SF
ディックの邦訳長篇は、ほとんど読んでいるはずなんだけど、これは読み残し。傑作と言われているのは知ってたが、巡り合わせ。
未来の(1994年だが)火星を舞台にしていながら、薄汚れていて、妙に日常感のある所は、お馴染みの雰囲気。その日常感が、次第にぐちゃぐちゃに狂っていく所が、サスペンス小説の構図に近くて、自分にとってのディックの面白さなんだろうな、という気がする。で、その狂い方が常軌を逸してるあたりがSFとしての面白さかと。
ディックの場合、常軌を逸し過ぎて、小説が破綻しちまってることがあるけど、これはなんとかまとまっている。クスリでトリップしてる風景としか思えない、ぶっとんだ場面は多いが、なんとか小説の枠組みの中に抑え込んでいる。その辺が傑作と言われている所以なのかな。
絶望的な未来しか見えない中で、とりあえずささやかな日常に幸せを見い出そうとする、みたいな感覚を、本書も含め、ディックの小説には、時々感じるのだけど、それはとても現代的な感覚のように思える。本書が書かれた1960年代前半に、既にそういう感覚が一般的だったとは、あまり思えないんだけど、どうなんだろう。

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