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感想「言語の脳科学」

「言語の脳科学」 酒井邦嘉 中公新書
人間が言語を修得するメカニズムの研究の動向について、チョムスキーの言語生得説を支持する立場からまとめたもの。
人間が言語を修得するメカニズムの研究ってのは、「エンベディング」の導入部そのもの。その辺の興味で読み始めた本。他にも、言語が人間の行動を規定するという学説への言及があり、「バベル=17」だねえと思ったり。
脳科学者である著者は、従来の研究を文系的な、緻密さを欠いたものと見なし、理系的な厳密な検証を行う必要がある、というあたりを、強く主張している。それはそれで、納得出来る話なのだけど、これを前提にして話を進めた結果として、現時点ではほとんど何も分っておらず、今後の研究課題がこんなにありますという、検証が必要な事項の列挙にとどまってしまい、今一つ面白みに欠ける本になってしまった。まあ、それは止むを得ないとしても、これだけ何も検証出来ていないにもかかわらず、チョムスキーの理論と対立する学説を、どうしてここまで、誤りとして断定的に語れるのかが、よく分らない。専門家には自明のことなのかも知れないけれど、新書ってのは専門家向けに書かれる本ではないし、こういう妙に感情的な書き方は、「分ってない人間」に対しては、著者の主張自体の正当性を疑わせてしまうだけのような気がする。
日本の手話には、自然言語の日本手話と人工言語のシムコムという、性格の異なる二つがあるというのを初めて知った。そのあたりは、興味深かった。

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コメント

どうもです。

この本は何度かトライしてまして、序盤の記述はなかなかスリリングだと思ってるんですが、いつも中盤の脳ミソの絵が出て来るあたりで読むのが止まってしまってます。(^_^;

いずれにしてもここまで見事に理系でのアプローチをされると文系では太刀打ち出来ないな、自分にはここまでのレベルの本は書けないな(そりゃそうだ)などと思いながら読んでました。まあ、理系・文系などと言っている時点でもはや時代遅れなのかもしれませんが。

投稿: 劇団天野屋 | 2005.04.20 23:00

ああ、なんとなく分るような(^^;
途中までは、意見の異なる学説を、手当り次第切りまくっていたのが、実際に脳科学の検証へ話が進むと、歯切れが悪くなって、何が言いたいのか、よくわかんなくなって来る感じがありました。
理系的なアプローチでも、明確な検証結果が示されていれば、むしろ読みやすいくらいじゃないかと思うんだけど、中途半端に「よくわかっていない」とか「かもしれない」みたいな文章が並ぶと、読んでてストレスですね。根底には、人間の脳が相手なんで、自由な検証が難しい、ってのがあると思うんですが。

投稿: wrightsville | 2005.04.21 23:25

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