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感想「ニッポン硬貨の謎」

「ニッポン硬貨の謎」 北村薫 東京創元社
北村薫のハードカバーの小説、というだけなら、読む可能性はまずないが、エラリー・クイーンを題材にしたパロディ小説とあっては、付き合っておかないとしょうがない。ということで、買って読んだ。
「シャム双子の謎」を中心とした、クイーンの作品に関する考察と、クイーン来日時のあれやこれや、ミステリ界のあれやこれやの裏話的な部分だけで、充分元が取れる面白さはあった。ただ、ある程度クイーンを読み込んでいたり、日本の(主に翻訳)ミステリ業界の内情みたいなのが、ある程度頭に入ってないと、そういう所で面白さは感じられないのではという気もする。まあ、そういう人は、最初からこの本を読もうなんて気は起こさないかも知れないけれど。そういう意味では、マニア向けの本。
殊更にそういうことを考えてしまったのは、普通にミステリとして読める小説ではないな、と思ってしまったから。クイーンの幻の作品という設定で書かれており、その構想自体は面白いけれど、結果として、荒唐無稽さに歯止めが掛かって、いかにもクイーンらしい、妙に生真面目な部分が出来てしまった。その一方で、そもそもがパロディ小説だし、小林信彦の「ちはやふる奥の細道」を思わせるようなコミカルな要素が、小説のかなりの部分を占めてもいる。構想から来る、必然的なものではあるけれど、どっちつかずな小説のように見える。事件の解決の部分も、どれだけ真面目に受け取っていいのやら、という感じで。
まあ、もちろん、本当はパロディの方に重点があるのだろうけど、そこの所については、クイーンの作品をモチーフにして、いろいろ趣向を凝らしているのを、いちいち注釈で自分で解説してしまう辺りも、「粋でない」ように感じられて、ちょっとつまらないと思ってしまった。分る奴に分ればいい、くらいの開き直りで書けなかったのかな、と思った。もっとも、注釈してない部分に、もっとコアな趣向が埋め込まれているのかも知れないけれど。

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コメント

 マニア以外に面白いかなあという感じですよね。構成や文体は落語だったのかなあと、今思っています。

投稿: Moriwaki | 2005.07.30 10:10

やっぱり、そう思われましたか。
やりたいことは分るんだけど、普通の読者は想定外なのかな、という気がします。「新本格」的というか。

投稿: wrightsville | 2005.07.30 14:02

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