感想「この女百万ドル」
「この女百万ドル」 カーター・ブラウン ハヤカワ・ポケミス
マイク・ファレルもの。内容からすると、「緋色のフラッシュ」のすぐ前に位置する作品らしい。ちなみに、原題は「ミリオン・ダラー・ベイブ」だけど、イーストウッドの映画とは無関係なはず。慣用的な、よくある言い回しなんだろうな。
街のボスとシンジゲートの取り引きに割り込んで百万ドルを横取りする計画に、引きずりこまれて嵌められたファレルが、窮地から逃れようと悪戦苦闘する話。
「緋色のフラッシュ」もそうだったが、お色気よりはハードボイルド色を強く感じる。ファレルはギャンブル中毒だが、それ以外は割とまともな人間なので、いつものカーター・ブラウンの小説のようなドタバタになりにくい。ただ、それにしても全体的に、登場人物の出し入れがぎこちないような気がする。プロットに合わせて、無理矢理動かしているような感じがした。コミカルさよりもストーリーを追求した結果、プロットを人工的に作り過ぎたのかも知れない。
翻訳が高橋豊ってのも、多少は影響しているんだろう。この人の翻訳は「普通」だから。
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