感想「コースアゲイン」
「コースアゲイン」 北方謙三 集英社文庫
ハードボイルド小説というより純文学の部類かな。もっとも、犯罪小説ならハードボイルド、そうでなければ純文学、というちょっと乱暴な割切りを前提にしての話だけど。
北方自身を想像させる、初老の無頼な作家の生活のあれこれ(女、酒、車、船、等など)を題材にした短篇集。めったやたらとカッコ付けてて、そこが読み所だけど、これを格好いいと思うかどうかは、人によるだろうな。
個人的には、意地張って痩せ我慢してるみたいな気持ちの持ち方は格好良く感じるが、モノにこだわって見せてる所なんかは流儀じゃないな、と思う。でもそれって、単にビンボ臭いだけかも?、と思わなくもない(^^;。
そういう味とは別に、ひねりが効いていて、単純に、読んで愉しめた短篇も結構多かった。小説そのものが面白いという裏付けがあるから、そこでキザぶって見せてもあんまり嫌味にならないんだろう。いつもながら、巧い作家だと思う。
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