« JFL後期第11節ホリコシ対アローズ北陸 | トップページ | J1リーグ第30節大宮対名古屋 »

感想「黒龍の柩」

「黒龍の柩」 北方謙三 幻冬舎文庫
土方歳三を主人公として、池田屋事件から箱館戦争までを描きつつ、北方の時代小説の一つのパターンみたいになってる、時代の流れと権力に抗して、理想の国家を作ろうとする壮大な試みが挫折して行く物語が語られる。夢が潰えて行く過程は、読んでいて切ない。
「草莽枯れ行く」で、清水の次郎長と相楽総三を中心人物にして、どっちかというと裏側から描いた時代を、今度は表側から(ただし少し斜め)描き直した小説という感じ。どちらの側にも夢があり、それらをまとめて踏みにじったのが薩摩の西郷隆盛、という構図だけど、それはどの程度、史実を踏まえているんだろうな。
土方が、やたらと格好いいし、彼を取り巻く人物像も決まっている。北方の時代小説には外れがないと思う。北方の小説は自分の美学を描く小説だから、彼が描く格好いい登場人物の存在感に、いかに説得力を持たせるかがポイントだし、それには現代小説よりはリアリティを問われない、時代小説の方が向いてるのは当然か。
それでも本書は、太平記の時代を描いてるのと違って、たかだか150年くらい前に過ぎない時代を描いた小説だから、どの程度、史実に沿っているのかというのは、どうしても気になってしまう。西郷隆盛にしても、一般的には好漢と受け取られてることが多いし、どっちが現実に近いんだろうと考えてしまう。「草莽枯れ行く」に比べても、登場人物がずっとメジャーな顔触れになって、既にイメージが出来上がっている人物が多かったから、なおさらそれを感じた。
ちなみに新選組については、解説を読むと、いろいろ伝説があるようだけど、そういうのがうまく組み込まれていたりするんだろうか。その辺は、全然詳しくないので、よく分らない。
それはそれとして、今年7月に函館へ行ってたので、箱館戦争のくだりは聞き覚えのある地名がいろいろ出て来て面白かった。行く前に読んでたら、函館を見て回るのに、もう少し違う興味も持てていたかも知れないな。五稜郭でも、もっと感慨が深かったかも知れない。

|

« JFL後期第11節ホリコシ対アローズ北陸 | トップページ | J1リーグ第30節大宮対名古屋 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

こんばんは! TBありがとうございました!
実は、北方氏の時代小説を読むのは「黒龍の柩」が初めてでした。新選組好きの人達にも評判は良いようですね(笑)
今、偶然にも赤報隊(相楽総三)の小説を読んでいます。「草莽枯れ行く」では、どんな切り口で相楽を描いているのか……
今度、読んでみたいと思います。

投稿: 七織 | 2005.11.11 20:23

コメント、ありがとうございます。
私は北方謙三をずっと読んでる中でこの辺の時代小説を読んでいて、他の作家の時代小説はほとんど読んでなかったりするので、たとえば「黒龍の柩」が、普通に時代小説を読んでる人の中では、どういう位置付けになってるのかというのが、よく分らなかったりするんですが。無茶苦茶やってるんだとしても、分らないわけで(^^;
でも、新選組が好きな人たちの間でも評判がいいようなら、それなりにちゃんとした時代小説を書いていると考えていいんでしょうか。
相楽総三は、長谷川伸の小説(?)を父親が以前、持っていたのを覚えてます。ついに読まないままだったんですが、「草莽枯れ行く」を読んだ後、読んどけば良かったなと思いましたねえ。

投稿: wrightsville | 2005.11.11 23:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/7001280

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「黒龍の柩」:

« JFL後期第11節ホリコシ対アローズ北陸 | トップページ | J1リーグ第30節大宮対名古屋 »