感想「古地図に魅せられた男」
「古地図に魅せられた男」 マイルズ・ハーベイ 文春文庫
古本屋で見掛けて、なんとなく買ってしまった本。
古地図専門の大泥棒(図書館から盗んで、自分の店で売り払う)を題材にしたノンフィクション。もっとも、著者は本人についに会うことが出来ず(先方に最後まで拒絶された)、そのためかどうか、かなり脱線の多い内容になっている。
地図の歴史や地図を巡って起きてきた諸々の犯罪、及び、現代において古地図の存在がどのようなものであるかについて、幅広く述べられているあたりは、結構興味深かった。偶然だが、しばらく前に読んだ「奇怪動物百科」に重なって来る部分があったのは、ちょっと面白かった。
一方で、本来、著者が書きたかったんじゃないかとも思える、泥棒の心理状態の分析や、それを自分自身に投影して語る部分は、あんまり面白くない。結局、本人に会えていない所が致命的なのかも知れない。泥棒の特異な人物像が、あまりうまく浮かび上がって来てない。特徴のない所が特徴というような人物だと、著者は再三書いているのだけど、本当にそうなのか、著者が人物像を捉え切れなかっただけなのか、よくわからない。
全体的な印象としては、まとまりを欠いた、という感じ。
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