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感想「The Hand in the Glove」

「The Hand in the Glove」 レックス・スタウト Bantam Books
レックス・スタウトの未訳長篇。本棚で10年以上寝かせてたが、来年(?)ポケミスで邦訳が出るらしいので、読んでしまうことにした。
ただし、ウルフものではなくて、女私立探偵ドル・ボナーのデビュー作。ドル・ボナーはウルフものの作品にゲストで出たこともあるし(少なくとも「Plot It Yourself」に登場しているのを読んでいるし、他にもあるはず)、部下のサリー・コルベット(本書には出て来ない)はボナー以上に、ウルフものによく顔を出す。また、本書にはクレイマーも登場して来る。完全にウルフものと同一の世界の話になっている。
ドル・ボナーの「プリマドンナ」と評される性格が強烈。本書では私立探偵業は駆け出しに近く、所々、初々しさも滲むが、一方で、強いプロ意識で周囲を圧倒して見せもする。男嫌いで頑固というあたりは、まんま、女ウルフという感じだが、太ったおばさんというわけではなく、若いおねえさん。まあ、ウルフには負けるにしても、アルファベット・ヒックスよりはずっと存在感があって、面白いキャラクター。スタウトの小説は、やはりキャラが生きていないと面白味が薄い。
もっともプロットも、ボナーが探偵事務所の共同経営者の後見人の絞殺死体を発見し、警察そっちのけで事件解決に乗り出すという筋だが、くせのある登場人物を絡み合わせて、結構うまく組立てている。謎解きもワンアイディアではなく、重層的な展開になっていて悪くない。まあ、日本語で読んでたらあっさり気が付いたかもなという気は、若干したけど、その辺は実際の所はよくわからないな。
途中、ボナーが証拠品を隠す場面があるが、スカートの中でストッキング(パンストに非ず)に挟んじゃう。1937年の作品らしい、クラシックな場面と思った。現代の女探偵には難しい技じゃないかなあ。というか、この場面は、男性読者へのサービスか?(^^;
なお、37年の時代背景を、ごく単純な形で作品に反映したのかな、と感じたくだりがあった。本当にそうなのかどうかは分らないが、そうなのであれば、いかにもスタウトらしい乱暴さではあると思った。

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