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感想「悪役レスラーは笑う」

「悪役レスラーは笑う」 森達也 岩波新書
50年代・60年代のプロレスを語った本と考えれば、まずまず面白かった本。書かれている内容自体は、(グレート東郷の出自の話を別にすれば)大半はどっかで読んだな、という程度のものではあるけど、日頃、プロレスの世界の近くにいない人が、力道山ではなくグレート東郷という、目新しい切り口でまとめあげている所に新鮮味があった。
ただ、森達也ともあろう人(かなりのプロレスファンではあるみたいだけど)や岩波書店ともあろう出版社が、ただのプロレス本を出すはずもなく、グレート東郷の母親が日本人(日系人)ではなかった?という謎から、ナショナリティの問題へと展開し、さらにそこから話を、昨今の安直なナショナリズムの氾濫や胡散臭い「愛国心」の押し付けへの批判につなげていく。その辺の論旨は、この著者にお馴染みのものだし、至極まっとうなことを言っているとも思う。
とはいうものの、肝心のグレート東郷の出自が、結局、謎のままに終わってしまっているために、そこからナショナリティへつなぐ部分にかなり無理が生じていて、いまひとつ説得力に欠ける内容になっているように感じる。こういうテーマを語りたいという切迫感(それ自体は非常によく分かる)が、テーマと素材の噛み合わせに、狂いを生じさせたのかなという気がした。

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