感想「サム・ホーソーンの事件簿IV」
「サム・ホーソーンの事件簿IV」 エドワード・D・ホック 創元推理文庫
ここまでの3冊同様、よく出来たパズラー揃いの短篇集。シリーズが進むにつれて、作りが緩くなってるかな、というイメージを、以前は持っていたけれど、そんなことはないというのがよく分かった。4冊目になっても、依然としてよく作り込まれている。これだけ不可能犯罪ものを書いていながら、現場に居たら分かって当たり前のことを曖昧に書いて分からなくしてるだけ、という感じが露骨にする作品が、ほとんどないのは大したものと思う。
まあ、実際には、そういうのもないわけではないけど、たとえば「毒入りプール」みたいに、もう一段掘り下げていたり、「田舎教会」のように、犯人を示す手掛かりはトリックとは別の所に仕込んでいたり、不可能犯罪のトリックの上に、さらに工夫が凝らされているので、後味に「なーんだ」というようなバカバカしさが残らない。
本書中のベストは「革服の男」かな。1枚づつ皮を剥ぐように謎が解き明かされて行く過程に、無理がなく、爽快感がある。
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