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感想「百番目の男」

「百番目の男」 ジャック・カーリイ 文春文庫
昨年の話題作。新刊で出た時、店頭で少し気になっていたし、この人が褒めてるんならという感想も、その後、いくつか見たので、読んでみることにした。
前半は、いかにもありがちなサイコキラーものに見えたし、登場人物はみんな、なんか重い物を抱えて辛そうで、お互いがお互いを破滅に引きずり込んで行くような展開になりそうな雲行きだったし、読んでて気が重かった。サイコキラーもの自体、ひところ、そこそこ数を読んだから、それだけで少し食傷気味な所もあるし。
真ん中あたりでちょっとうんざりして小休止したが、読みかけだし、しゃあないと思って、続きを読み始めたら、その辺からにわかに話の流れが明るくなって読みやすくなった。登場人物が、助け合いつつ、過去の重荷に果敢に立ち向かい始めるし、嫌なやつにも泣かせる過去があったことがわかったりしてくるし、すっかりさわやか。
謎解きの所で、こりゃすごい、という部分がひとつあって、この本が妙に評判になってる理由の一部は、そのせいぽいけれど、小説の重要な一部として溶け込んでいるので、特に突出した印象は受けない。でも、作家はこのネタを思いついた時、やったぜ!、と思っただろうな。そんな気がする。
極悪人と思える人物にも、そうなった必然的な過去を設定しているあたりに、著者の人間味を感じる。過去の克服というのが、そもそも本書のメインテーマなのかも知れず、そのテーマを際立たせるためのエピソードに過ぎないのかも知れないが、悪人を絶対的な悪の存在として描かない所には、やはりそれなりのポリシーを感じる。
いずれにしても、前半の印象からは予想外に愉しめた。これなら、昨年の話題作のひとつに挙げられていても違和感はない。本は最後まで読んでみないと分からんこともある、ということだな。

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