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感想「間違いの悲劇」

「間違いの悲劇」 エラリー・クイーン 創元推理文庫
同人誌以外では初訳の表題作と、単行本未収録全短篇が収録された短篇集。

前者は、「心地よく秘密めいた場所」の次の作品になるはずだった幻の長篇の、あくまでも梗概だが、それでもクイーンの後期作らしさがプンプン漂ってきて、面白く読める所が貴重。ダネイが、リーを最初の読者と想定しているような書き方をしているからで、だからこそ、こういう形で出版する意味もあると思う。そうは言っても、完成形じゃない以上、小説と同列で論じられる物ではないが。
有栖川有栖が、この梗概を元に長篇化するという話が来ていたことを、巻末に書いているけど、この企画は消えてよかったと思う。ただのあらすじの小説化ならまだいいだろうけど、この梗概がこれだけ漂わせてるクイーンの匂いを、別の作家がうまく小説に取り込めるとは思えない。特に巻末のわけのわからなさは、小説としてまとめあげる以上、何か解釈をしなきゃいけない所だが、ここを別の作家が解釈してしまった時点で、クイーンじゃなくて、その作家の作品になっちまうだろう。

単行本未収録短篇に関しては、元々全部既読だったんだけども、「動機」以外、それほど大したものはない、という印象は変わらない。「動機」も初読時と大きな印象の違いはない。初読時の感想を、それほど細かく覚えているわけでもないが。最初の被害者の父親が宗教がかる部分は、少し唐突と思う。町の住民が暴徒化する場面もそう。もう少しページをかけて書くべきだったのでは、とも思えるが、この辺をじっくり書き込んだら、ほとんど「ガラスの村」になっちまうかも知れない。謎解きは、本格ミステリと呼ぶにはデータ不足だが、サスペンス小説としては充分しっかりした作りだと思う。

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» 謎が謎を呼ぶ [お父ちゃんのふるほ日記]
『間違いの悲劇』 エラリー・クイーン 創元推理文庫 読了。  ダネイによる梗概「間違いの悲劇」と、入手がしづらい状態であった作品を収録した短編集である。  作家が急逝したとき、梗概や、マンガ家なら下書きの原稿が公開されることがあるが、作品はやはり完成して....... [続きを読む]

受信: 2006.02.22 00:13

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