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感想「腰ぬけ連盟」

「腰ぬけ連盟」 レックス・スタウト ハヤカワミステリ文庫
ネロ・ウルフものの2作目。何度めかの再読だが、最後に読んでからは随分経ってる。
前作「毒蛇」では、重要な容疑者になる人物が、必ずしも充分には描かれてないきらいがあると思うのだけど、本書はポール・チャピンを念入りに描き込んでいて、もしかすると、前作の反省があるのかも、と思った。特異だが、説得力のある人物像を作り上げている。中盤で展開が大きく変化する所にも面白みがあって、作品としてのレベルは、「毒蛇」との比較では、こちらの方が上なのかも知れない。第一作ということで、どうしても「毒蛇」の方が印象に残るのだけど。
チャピン以外にも、その妻や「連盟」のメンバーを個性的に描き分けているあたりに、作家の力量を感じる。

トリヴィア的な話。
ウルフが使う私立探偵として、ソール、フレッド、オリ−のトリオの他、ビル・ゴーアとジョニー・キームズが登場。ジョニーは、これが初登場と思う(「毒蛇」には出て来なかった)が、存在感が薄い。消耗品的なキャラクターということか。クレイマーが初登場する話でもある。ヴォルマー医師も初かな。そういう意味では、これ以降のシリーズの骨格が固まった作品かも。
有名な台詞もいくつか出て来るが、個人的にかなり気に入ってる場面は、「この弁護士はタフな奴だ」のくだり。

以下、ネタバレくさい話なので、少し空白にする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
解決の部分は、真犯人がきっちり検証されていないように思える。謎解きの部分で穴がなくなるようにプロットを作っておくことは、それほど難しくなさそうであるにもかかわらず。実質的にはそういうことになっているのか?と思うんだが、玄関に鍵がかかるので、条件が合う一定の範囲の人間しか容疑者になりえないということを、明確に書いてしまえば、かなりきっちりした謎解きになっていたはず。それによって、逆に犯人がばれやすくなったかも知れないが、いずれにしても犯人に見当を付けるのは、そんなに難しくはないんだ。結局、スタウトはその辺を気にしてない。その結果、これもやっぱり、本格ものとは言いにくいな、というミステリになっている。
今まで、漠然とそう思いつつ、あんまり真剣に考えたことがなかったが、このシリーズは明らかに、名探偵ものだけれど本格ものではないんだというのを、「毒蛇」、本書と読み直して、再認識している。

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