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感想「料理長が多すぎる」

「料理長が多すぎる」 レックス・スタウト ハヤカワ・ミステリ文庫
ネロ・ウルフものの5作目。これも再読。これはさすがに、割と内容を覚えていたかな。

本書は、後から振り返ると、シリーズで唯一無二というほど異色な作品ではないのだけど、順番に読んで来た場合には、最初に遭遇する異色作ということになるはず。作品中に頻出する料理に関する大量の蘊蓄は別としても、ウルフが邸から出っ放しで事件に取り組む体裁は、これが初めて。ニューヨークからすら離れているから、いつものレギュラーキャラとの絡みも最小限(ソールが登場するのと、クレーマーに電話で協力を依頼する程度)で、話の進み方もその影響を受けている。それでも、ウルフ物らしい骨格は維持されている。ウルフが事件現場に立ち合うことで(立ち合わざるを得ない)、ストーリーに無理がなくなっている部分もあると思う。プロットも、「赤い箱」に引き続いて、単純だが巧み。

料理に関する蘊蓄については、ある意味、これは非常に趣味的な小説だったのかも知れないが、そういう趣味性を表に出しても問題ないくらい、前作までに足場を固めたという自信がスタウトにあったのかも。一方で、こういうシチュエーションを設定することで、奇人変人(料理長たち)が入り乱れた状況が作りやすくなり、ここまでの作品に比べて、人物関係が複雑化して、話に広がりが生まれているような気はする。それは計算のうちだったのか?

マルコ・ヴュクシックの初登場作でもある。これは今後のシリーズ展開も考えたものだったはず。
いろんな意味で、里程標的な作品なのかな、と思った。

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