感想「最後の旋律」
「最後の旋律」 エド・マクベイン ハヤカワポケミス
87分署シリーズ。マクベインの死去に伴って、これが最終作となった。
ちょっと、「老い」をテーマにしてるようなことがあって、死期を悟って、という背景のある作品なんだろうか、と思った。解説を読むと、マクベインが闘病しながら書かれた作品のようなので、やはりそういう面はあるのだろうな。ただし、これが最終作というような、改まった書き方はしていない。普通のシリーズ作品。
ひところの87分署物は、書き過ぎてる嫌いがあって、分厚いけど中身が薄くてつまらなくなってきたな、と思っていたが、近年は、肩の力が抜けたというか、くどさが薄れて来て、出来不出来はあるにせよ、少し持ち直したかなと思っていた。本書も、中期以前のシリーズ作品を思い出させる軽快さがあって、悪くなかった。もしかすると、それも、体力的にきつくなってとか、そういうのがあったのかも知れないけれど。
そうは言っても、最近の2作は、あまり感心しない出来だったのだけど、本書はシリーズ作品としての水準に達していた。普通の内容の水準作というのは、変に大仰な作品より、87分署の最終作として、むしろふさわしかったように思える。
ミステリを読み始めて早い時期に遭遇しなかったら、ここまで熱心にミステリを読むようになったかどうか、よくわからないという作家やシリーズがいくつかあるが、87分署シリーズはそのひとつで、中でも特に影響が強かった部類に入る。シリーズの終了は、感慨深いものがある。リアルタイムで約25年(「カリプソ」以降)、付合って来たシリーズだものな。
シリーズ自体は50年続いていた。それもまた、凄いことだと思う。
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