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感想「あの戦争になぜ負けたのか」

「あの戦争になぜ負けたのか」 半藤一利・保阪正康・中西輝政・戸高一成・福田和也・加藤陽子 文春新書
6人の論者が座談会を行い、巻末に各自が短い補足の文章を付け足すという構成の本。ちょっと、各自の物知り比べみたいになっちゃってる所はあるが、複数の論者が知識を出し合って、当時の状況を多面的に分析していく形は、結構効果的だったように感じた。
内容は、なぜ負けたのか、というより、なぜ、初めから負けることが分かってたような戦争に突入して、しかも必要のない莫大な犠牲を払う事態になったのか、というあたりに重心がある感じ。結論は出されていないけれど、結局、国として未熟過ぎた、というあたりに落ち着くのでは、という印象を受けた。鎖国を解いて100年かそこらの国が、過酷な国際情勢の中で、それなりに苦労はしても、とりあえず大きな失敗もなく着々と足場を固めて行く中で、自信過剰に陥って、身の丈を超えた事態に手を出した、という構図なんじゃないのかな。そうだとすれば、日本はああいう戦争を、結局、どこかで経験せざるを得なかったのかも知れない。
ただ、だとしても、そのことと、本書の中でも方々で語られている、無能だったり無責任だったりする指揮官によって、膨大な意味のない犠牲者が生み出された事態は、やむを得なかったでは済まされないだろう。そういう惨事に責任があるはずの連中の一部が、戦後もでかい顔をして生き延びたことこそが、日本の戦後最大の問題だったんじゃないのかね。最近は、東京裁判を罵倒するのがすっかり流行してるけど、ああいうことでもなかったら、もっと多くの奴らが、問われるべき罪を問われずに済んでいたんじゃないのか。それだけでも東京裁判を、全面肯定は出来ないにしても、全面否定すべきでもないのでは。
もうひとつ、特に考えさせられたのは、一定の情報操作が背景にあったとしても、民主主義やマスコミが戦争の抑止力にはならず、むしろ政治不信や好戦的な世論を生み出して、かえって事態を悪化させたというあたり。小泉ブームや北朝鮮に対するヒステリックな反応なんか見てると、確かにそういうもんかもしらんな、と思う昨今だし。本書の帯に「あの歴史から何を学ぶべきなのか」とあるけれど、結局、学ぶべきことがあったとしても、何も学んでないんじゃないのか、本質的な所で、日本は戦前から大して変わってないんじゃないのか、という気がする。そういう意味で、福田和也の巻末の文章は印象的だった。

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