感想「天の声」
「天の声」 スタニスワフ・レム サンリオSF文庫
随分以前に古本屋で安く出てるのを見つけて買って、それっきり放り出してあったのを読んでみた。この作品自体は、今は国書刊行会から出ているので、このサンリオ版は、もうそんなに値打ちはないんだろうな。
序文のあたりが、非常に読みにくくて、翻訳が悪いのかな、と思っていたが、本文に入ると必ずしもそうでもなかったので、ある程度は原文のせいもあるんだろうと思った。ちなみに訳者は深見弾。
内容は…よくわからない。解説を見ると、当時の主流のSFに対するアンチ的な意味合いが強いんだろうかと思う。科学技術を共通言語として、異世界の文明ともコミュニケーションは図れるはずという、科学万能主義的な世界観に対するアンチテーゼなのか? そういう考え方が必ずしも支配的ではない今の時代に読むと、そんなに特別な印象も受けないのだけど、この本が出た当時はそうでもなかったんだろうか。
それ以外にも、ポイントか?、と思える部分はいくつかあるが、どうもうまく掴み切れない。作品が書かれた時代や、ポーランドというレムが暮らす国に、馴染みがないからのような気がする。SFではあるが、そういう背景を抜きには考えられない小説、という印象。
(2006.9.29読了)
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