感想「グラックの卵」
「グラックの卵」 浅倉久志(編・訳) 国書刊行会
ユーモアSFアンソロジー。面白いんだけど、講談社文庫から出てたユーモアSF傑作選とか、それこそ、文字通り、ひっくり返って笑ってたような覚えがあるのに比べて、どの作品も、そこまでの破壊力はないような。こっちが歳取って、感性が鈍ったということなのかなあ。もっとも、過去に紹介された作品とのかぶりを、なるべく抑えて、半分を初訳作品にしていて、言うなれば、残り物というわけだから…。
一番突出しているのは、明らかにスラデックだが(亡くなっていたんだ。知らなかった)、ユーモアというより不条理小説で、生理的にあまり馴染めない。奇想という点では、冒頭のネルスン・ボンドが最高だろうな。純粋に好感が持てるという意味では、テンの作品が好きだけど、ジェイコブスの表題作の洗練された雰囲気にも引かれる(これ、SFか?、と思いはするものの)。グーラートは、もっとイカレてて面白いのがあるはず、と思う。
(2006.10.12読了)
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