感想「デス・コレクターズ」
「デス・コレクターズ」 ジャック・カーリイ 文春文庫
「百番目の男」のジャック・カーリーの2作目。前作の続篇。
んで、シリーズ化したらこうなるだろうな、と思ってた通りの続篇という感じ。安定感は増したけれども、尖った所はほとんど消えてしまった。プロットは丹念に構築されているが、きっちりしている分、展開が読めてしまうきらいもある。事件の動機のアイディアは悪くないと思ったが、前作にあったとんでもなくバカなアイディアにはかなわないし。ある意味、それも、尖った所が消えたことの現れではあるかも。
あやうさがない代りに、安心して楽しんで読めるのは確かで、高い完成度で、出来は悪くないと思う。ただ、どうしても、こんなに普通になってしまって良かったんだろうか、という気がしてしまう。もっとも、この作家は、人物の掘り下げ方や、犯行の動機や必然性を重視した書き方を見ていると、こうした手堅いシリーズ小説の方が、資質に合っているのかも、と思える節もある。
なんとなく、ディーヴァーっぽいな、とも思ったのだけど、そこのところは、単に今時のサスペンスの定石的な作り、というだけのことなのかも知れないな。そういう意味でも、普通、なんだけども。
(2007.1.12読了)
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