« 感想「夜に消える」 | トップページ | 感想「壜の中の手記」 »

感想「ダークライン」

「ダークライン」 ジョー・R・ランズデール ハヤカワミステリ文庫
出だし「ボトムズ」みたいな雰囲気があり、結構しんどい小説かもしれんと思いながら読み始めたが、あれよりはソフトだった。時代が下って、深南部だけに、さまざまな差別や偏見が根強く残ってはいるが、それを否定しようという流れも生まれ始めている、というところかな。
「ボトムズ」ではヒーロー的な人物の不在が目立ったが、本書はそういう雰囲気の柔らかさの中で、登場人物がそれほど過酷な環境下に晒されないこともあり、少なくとも「いいもん」の人間に関しては、善性を肯定的に描いていこうという姿勢が強いように感じる。
もっとも、そうは言っても、全ての人に善と悪がある、という方向へは行かない。絶対的な悪は居る。そこの所はランズデールの小説に一貫している感じ。

ミステリとしては、プロットはかなりとりとめなく進むし、山場はあっても、最後までそのペースはあまり変わらないまま。悪い出来ではないけど、積極的に賞賛したいというほどでもないかな。でも、一人の少年が、ひと夏の経験をくぐり抜け、成長していく姿を描いた成長小説としては、読ませる作品と思う。エンディングはとても印象的。

それにしても偏見や差別という点で、むしろ退行が進んでいるんではと思える(何しろ政府がそれを推進してるような有様だからな)昨今の日本では、こういう本を子供に読ませた方がいいのかも知れないね。教育基本法がああいうことになって、この先、もはや、そういう面の教育を、学校に期待は出来んだろうし。
(2006.12.16読了)

|

« 感想「夜に消える」 | トップページ | 感想「壜の中の手記」 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/13623512

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「ダークライン」:

« 感想「夜に消える」 | トップページ | 感想「壜の中の手記」 »