感想「壜の中の手記」
「壜の中の手記」 ジェラルド・カーシュ 角川文庫
短篇集。カーシュは、短篇2つ3つは読んだことがあるが、そこから予想していたものと本書の内容に、大きなずれはなかった。作品ごとの作風の変化は、あんまりない作家のように思える。
奇想作家ということで、当然サキやコリアを思い出すけど、彼らに較べると、書こうとしているもの自体は案外普通のお話なのかも、と思わないでもない。奇想よりも語り口の方に重みがあるように思えた。結構長めの作品が収録されているので、特にそういう印象になったのかも。
で、話自体は結構面白いが、長めで語りが入ってる分だけ、時代の古さが感じられ、切れ味も鈍いかな、という気はする。古い雑誌で1篇2篇と読んでいる方が楽しい作家かも知れない。
巻頭の「豚の島の女王」が、一番良かったように思う。他の作品にはあまり感じられないせつなげな後味が、印象に残った。
(2006.12.25読了)
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