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感想「ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう」

「ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう」 植草甚一 双葉文庫
ミステリにかかわる身辺雑記のような文章と、ミステリの書評と、ミステリの歴史について語った講演の採録の3本立て。初刊行は78年。古本屋で見つけて買ってみた。

植草甚一の本をまともに読むのは初めて。理由ははっきりしてて、ミステリを読み始めた初期に「EQ」で、この人の本の、かなり辛辣な書評を読んで、そうなのかなと思ってしまったから。その時に書評されていたのは、この本だったと思う。
実際に読んでみると、厳しい評が付くのは分かると思った。書いていることが、あまりにもとりとめがなくて、何を言いたいのか分からなかったり、結論がほったらかしになったり、という所が、至る所にある。ただ、この人は、本そのものは凄く読んでいて、他人が手を出さないようなものまでカバーしているし、よく消化して、考えられてもいるという印象を受ける。この人が書いているのは、評論ではなくて、ミステリを題材にした身辺雑記なんだと思えば、これはこれで、別に悪いわけじゃない。あまりにもとりとめないので、苛々する所もあるけれど、ある時代におけるミステリの状況を体感するという意味では、充分興味深い。まあ、後半みたいに、一応ミステリ論になってる所なんかは、さすがにもう少し何とかならんのか、とは思うけど。もっとも、これは講演の採録だから、しょうがない面もある。

本のセレクションなんかはとても気が利いてると思う。というか、趣味が合う(^^;。書評が収録されてるのが、マーガレット・ミラーにJ・P・マンシェットにシムノンにマクルーアだからなあ。書いている文章の切り口もいい。

この人は、基本的には、熱心なアマチュアという立場の人だったんじゃないかと思う。昔は、みんなそうだったんじゃないかな。そして、70年代くらいまでは、こういう人でもミステリの全体像を把握することが出来たけれども、それ以降、ミステリが拡散して巨大化してしまって、その反動で狭いジャンルに特化して先鋭化する集団も出現したことで、こういう人の存在が難しくなって来たんじゃないかと思う。「EQ」の書評が辛辣だったのも、そういうあたりにひとつの原因があったんじゃないか、という気がする。多分、昔の方が愉しかっただろうな、とも思うんだが。
(2007.2.8読了)

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