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感想「喪失」

「喪失」 カーリン・アルヴテーゲン 小学館文庫
古本屋で見掛けて、知人がこの作家のことを褒めていたのを覚えていたので、読んでみた。スウェーデンの女性作家のサスペンス。

親の精神的な虐待に耐えかねて、家出してホームレスになった女性が、猟奇的な連続殺人の犯人に仕立て上げられて、逃亡・反撃する話。筋立てはかなりドロドロだけど、案外、それを感じさせないのは、凄惨な事件現場そのものは描かれていないことと、追いつめられながらも最後の一線で人間らしさを保つ、主人公の気持ちの在り方が描かれているからじゃないか。とことんまでは追いつめられていない甘さ、といえば、そうなんだけど、そういう所に、スウェーデンの社会そのものの、基本的な物心両面の豊かさが投影しているのかも知れない、ということを考えた。
主人公が、全てを諦めかけちゃった所から、ひとつのきっかけを経て、再生して行こうとする過程がよく描かれていて、その辺も爽やかさを感じる理由だと思う。
プロットもいい着眼。調査の肝心な所は全てインターネットというあたりは、やや安直とは思うが、近頃は、かなりの割合の小説が、多かれ少なかれそうだからなあ。それを除けば、最後まで手を抜かずにまとめているし、好感の持てる小説だった。

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