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感想「アイランド」

「アイランド」 トマス・ペリー 文春文庫
原書は87年刊行で、邦訳は95年刊行。今は新刊では品切れらしい。何気なく、古本で入手したんだが…。

詐欺師の一味がカリブ海の真ん中に島国をでっち上げて、ひと儲けを企む話。それはそれで、かなり奇想天外で結構イカした話に思えるが、話はそこでは終わらない。そうやって作った島国に説得力を与えるために、色々な人間を呼び込んでいくうち、そこが彼らの共同体としての夢の「国」になっていく。その過程のひとつひとつが、おかしくて楽しい。
現代を舞台にする上で、リアリティを獲得するために、ある程度は血も流れるし、殺伐とした場面もあるが、本質的にはこれは、本当のことならいいのに、と思えるようなおとぎ話。心から楽しめた小説だった。出た当時に見落としてたのは悔しいけど、おかげで今、楽しめたわけではあるかな。本当に何気なく、それほど期待もせずに入手した本だっただけに、ここまで楽しめたというのは嬉しい。

トマス・ペリーは、先行して出た他の本の書評を読んで、合わないかもと思って、視野から外した作家だったのだけど、こうなってみると、他の作品も読んでみたい気がしてくる。あとがきを見る限りでは、本書が最高傑作なのかも知れないけれど、それでも気になるな。
それにしても、本を選ぶというのは難しい。
(2007.1.30読了)

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