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感想「ヒート アイランド」

「ヒート アイランド」 垣根涼介 文藝春秋
「ギャングスター・レッスン」が後につながる作品。そもそも、なんで「ギャングスター…」を読んだかというと、垣根涼介が家に何冊かあることを知ってたので、KIOSKで本を探してる時に、名前を見つけて、ちょうどいいやと思ったわけで。ただ、つながる作品そのものが家にあるとまでは知らなかったけど。

本書は、「ギャングスター…」よりはだいぶマシ。あちらがタイトル通り、主人公(アキ)の訓練をテーマとしていたために、やや間延びしたストーリーになっていたのにくらべると、出だしから結末まで、きっちりした筋立てがあって、小説として構造がしっかりしてる。それと、こっちを先に読んでいれば、「ギャングスター…」も、どういう狙いの小説なのかと、迷うことはなかっただろうなと思う。このシリーズは、本質的に、アキを主人公にした青春小説なんだね。
だから、と言っていいのかどうか、分からないけれども、なんか甘い、という印象は、本書にも付きまとった。登場人物の大半は、ヤクザとストリートギャングで、最初に出て来る時は、強面だったり、バカで粗暴だったりする人物が、みんな最後は、わるさしてるけど憎めない、みたいなキャラになってしまう。決してほのぼの系な小説じゃなくて、それなりにハードな小説なんだが(殺し合いで血の海になる場面があったりもする)、その内容とこの甘っちょろいキャラクター設定が合ってない。「青春小説」だから許される甘さじゃないかな、と思った。
銃や車について、妙な蘊蓄を傾ける場面は、本書にもあって、基本的には作家自身がこういうのが好きなんだな、と思った。「ギャングスター…」よりは分量が押えられていたので、まだ読めたが、書き方そのものは、やっぱりそんなに巧いとは思わない。

「ギャングスター…」よりはマシだったが、この作家を見直す、というほどの小説ではなかった。まあ、合わない作家なんだろうな。
(2007.3.26読了)

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