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感想「荒涼の町」

「荒涼の町」 ジム・トンプスン 扶桑社ミステリー
あんまり、この作家らしくない、異色作。
人物の造型や話の進み方や舞台装置など、いろんな要素はいかにもトンプスンだが、微妙にずれている。解説でも書かれているが、いつもの小説だと主人公に操られて振り回されるような立場のキャラクターが、今回は主人公に設定されているのが、微妙な違和感の原因なのは間違ない。ただ、それでも、いかにもな形で話は進んでいくから、少し目先を変えてみたというところか、まあこういう書き方もあるだろうな、と思って読んでいると、最後に至って、全然トンプスンっぽくない展開が待っていて、びっくりする(^_^;)。まるで謎解きミステリ(というより、普通のハードボイルド・ミステリかな)のような終り方。もっとも、説明的であんまり巧くはないし、そんなに真面目に書こうとしてるわけではないんじゃないか、とも思えるが。どっちかというと、いつも通りの小説と思わせておいて、いきなり背負い投げ、みたいな、作家の性格の悪さの表れのように感じられる。トンプスンの小説には、そういう所が、往々にしてあるので。そういう意味では、これも、らしい小説と言えるのかも。
らしくない終り方も、まあ額面通りには受け取れんよな、という気配が濃厚。このエンディングの後にこそ、トンプスンらしいドロドロなドラマが待ってるんだろう、という気がする。
(2007.4.7読了)

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