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感想「マジック」

「マジック」 ウィリアム・ゴールドマン 早川書房
多分、10年以上前に古本屋で入手して、そのまま眠らせていた。本棚の入替でぽろっと出て来て、気が向いたので、ようやく読んだ。

ゴールドマンのサスペンスは凄く好き。「ブラザーズ」「殺しの接吻」「マラソンマン」。どれも、その年に読んだ中でベスト級の小説だと思った。

これも良かった。半ばで明かされるトリッキーな仕掛けの部分は、内容紹介とかを読んでしまうと、大体見当が付いてしまうんだけど、主人公の不安定な心の動きの描き方が絶妙。彼の境遇はどことなく「マラソンマン」「ブラザーズ」のベイブに似ていて、要はそういうタイプの人物の切なさを描くのが得意なんだな、とは思うけども、俺はこういうキャラクターに弱い(^^;。
ただ、それ以外の人物も、よく描けていると思うけどね。必ずしもリアリズムではなく、多分に戯画化されているが、フィクションの登場人物として納得出来る、リアリティと戯画化の配分がよく分かっている。
それから、話の進めていくテンポが非常に巧い。会話の使い方、シーンの切り替え方が印象的で、引き込まれて読んでいるうちに、避けられない結末まで、一気に雪崩込んで行ってしまう。
心に残るシーンを描くのが巧みなのは、やっぱり、映画に関わっているからなんだろう。

この人は、非常に巧い職人作家だと思う。サスペンス専業ではなく(そもそも作家専業でもないし)、邦訳されている小説もそれほど多くはないのが残念。いや、それでもサスペンスに限れば、大半は訳されているのかな?
(2007.9.29読了)

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