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感想「罪」

「罪」 カーリン・アルヴテーゲン 小学館文庫
この作家の「喪失」を読んで、結構面白かったんで、古本屋で見つけたので読んでみた。
パニック障害の孤独な男性が、会社社長が脅迫されている事件に巻き込まれ、その社長に気に入られて、脅迫者を探すことになるという筋立て。こういう風に書くとコメディみたいだな。実際、読みながら、かなり無理がある筋立てだよなと思っていた。

ただ、主人公も社長も、トラウマを抱えた存在として描かれていて、交流の中でそれが癒されていく過程が本書のメインテーマなので、著者はそれを描くための筋立ての強引さは、あんまり気にしてはいないのかも知れない。内容もコメディじゃなくて、シリアスなもの。

やがて主人公の母親や脅迫者についても、同様に心の傷とそれがもたらす苦しみが浮かび上って来て、著者の書きたいことがそこいらにあることは、いよいよはっきりするんだけど、この辺のアンバランスさは、やっぱり作家としての未熟さかな、とは思う。全体的に作りが甘い気もするし。まあ、これがデビュー作らしいからね。

とはいえ、意外性にはしっかり気を配っていて、サスペンスとしての盛り上がりも結構あったし、悪い出来ではない小説だと思う。
(2007.11.16読了)

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